ケンドリック・ラマー、スーパーボウル・ハーフタイムショーで新たな伝説に—その衝撃と論争、そしてマイケル・ジャクソンの影響
2025年のスーパーボウル・ハーフタイムショーは、単なるエンターテインメントでは終わらなかった。ヒップホップ史上初の単独出演として登場したケンドリック・ラマーは、圧巻のパフォーマンスで絶賛を浴びる一方、「逆人種差別」との論争を巻き起こした。
なぜケンドリックのステージは賛否を呼んだのか? そして、そもそもスーパーボウル・ハーフタイムショーが「世界最大級のエンターテインメント」となった背景には、マイケル・ジャクソンの伝説的なパフォーマンスがあったことを忘れてはならない。
本記事では、ケンドリックラマーによる圧巻のパフォーマンスとなぜ論争を生んだのか、そしてハーフタイムショーがビックイベントになった経緯を振り返りながら解説する。
ケンドリック・ラマーがハーフタイムショーで果たした伝説
スーパーボウル・ハーフタイムショーは、これまでポップスターの祭典として知られていたが、ドクター・ドレーのキュレーションによるスヌープ・ドッグ、エミネム、メアリー・J・ブライジそしてケンドリック・ラマーらが出演した「2022年のハーフタイムショー」によって、その流れが変わった。そして2025年、ケンドリックがヒップホップ枠として単独出演を務める歴史的瞬間が訪れた。
圧倒的なステージパフォーマンスを賞賛する一方で演出の意図が物議を醸すこととなった。
伝説のステージで披露された楽曲、そして物議を醸した演出とは?
ケンドリック・ラマ・ハーフタイムショー セットリスト
- “Intro&squabble up.”
- “HUMBLE.”
- “DNA.”
- “euphoria”
- “man at the garden”
- “peekaboo”
- “luther”
- “All The Star”
- “Not Like Us”
- “TV OFF”
セットリストを見て分かる通り、今回のステージは新譜を中心とした楽曲で構成されていた。Black Lives Matterのアンセムでありケンドリックのキャリアを代表する楽曲『Alright』や華やかな舞台に相応しいバラードナンバー『LOVE』が歌われなかったことが悔やまれる。
なぜ、ケンドリックラマーのハーフタイムショーが物議を醸し出すことになった??
出演者が全員黒人だったこと
ケンドリックのパフォーマンスを絶賛する一方で、今回のパフォーマンスについて物議を醸し出す声もあった。
論議を呼んだのは出演者全員が黒人だったことだった。SNSでは「もし白人アーティストが同じことをしたら、どんな騒ぎになっていたことか」といった意見が飛び交い、“逆人種差別” ではないかという声も上がった。
なお、ハーフタイムショーに出演したゲストは以下の通り
・『アンクル サム』を想起させるコスチュームで司会を務めた俳優のサミュエル・L・ジャクソン
・『All The Star』と『luther』でデュエットを果たすシザ
・元テニス選手でドレイクの元カノ・セリーナ・ウィリアムズ
・R&B/HIPHOPの巨匠・音楽Producerであり『Not Like Us』の共演で知られるDJ Mustard
多様性の欠如? それとも強いメッセージ?
ケンドリック・ラマーはこれまでも社会的メッセージを込めた音楽で知られている。今回のステージもブラック・エンパワーメントの象徴としての演出だったと考えられるが、一部の視聴者は「ハーフタイムショーは人種を超えたイベントであるべき」と反発した。
この演出に対し、「彼の音楽は常に社会を映し出してきた」「これは単なる批判ではなく、歴史的文脈を踏まえたアートだ」と擁護する声もあったが、最終的には賛否が大きく分かれることとなった。
ケンドリック・ラマーのハーフタイムショーが伝説になった理由
1)ハーフタイムショーのヒップホップ枠として単独出演という快挙
2)音楽とメッセージの融合した芸術的なパフォーマンス
3)出演者の人選を巡る論争
4)歴史的な舞台で楽曲(Not Like Us)を通じて特定の人物をディスったこと
ケンドリック・ラマーのハーフタイムショーは、単なる音楽パフォーマンスではなく、“政治的ステートメント” であり、“歴史的瞬間” だった。
賛否はあれど、このステージがスーパーボウル・ハーフタイムショーの”伝説”として語り継がれることは間違いないだろう。
なぜハーフタイムショーは「伝説の舞台」になったのか?
その答えは、マイケル・ジャクソンにある。
スーパーボウル・ハーフタイムショーが今のような巨大な音楽イベントになったのは、1993年のマイケル・ジャクソンのパフォーマンスがきっかけだった。
それ以前のハーフタイムショーは、行進バンドや小規模なパフォーマンスが中心で、音楽ファンにとっては”おまけ”のような存在だった。
しかし、NFLは視聴率の低下に危機感を覚え、「世界で最も影響力のあるアーティスト」 であるマイケル・ジャクソンに依頼。
マイケルジャクソンによる1993年のハーフタイムショー伝説の序章に
- 開始90秒間、ただ立ち尽くすだけで歓声が鳴り止まなかった
- 『Billie Jean』 や 『Black or White』 などの誰も知るヒット曲を披露
- ラストには “Heal The World” で巨大な地球と子どもたちが登場し、平和のメッセージを発信
この圧巻のパフォーマンスにより、ハーフタイムショーは単なる“試合の休憩”ではなく「ポップシーンを代表するアーティストが繰り広げる世界最大級のエンタメステージ」 へと進化した。
以降、コールドプレイ、ビヨンセ、レディー・ガガ、ザ・ウィークエンドといったアーティストが歴史に名を刻む中でケンドリック・ラマーもまたその一員となったのだ。
🏈 ケンドリック・ラマーとマイケル・ジャクソン、二人が示した未来
マイケル・ジャクソンがハーフタイムショーを「ショービズの最高峰」に引き上げたように、ケンドリック・ラマーは2025年のショーで新たな方向性を示した。それは、エンターテインメントとしての華やかさだけでなく、社会的メッセージを前面に押し出したステージ。
論争はあれど、歴史を振り返れば、マイケルの『Black or White』も、U2の『9.11追悼』も、ビヨンセの『Formation』も、社会にインパクトを与えたショーはすべて伝説になっている。
ケンドリック・ラマーのハーフタイムショーも時が経てば『伝説のハーフタイムショー』として語り継がれることになるだろう。
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