Doja Cat、最新作『Vie』ディスクレビュー
ドジャ・キャット、シティーポップへ舵を切った“最高傑作”
アルバムオープナー「Cards」のイントロを数秒聴いて、これがドージャ・キャットの新曲だと即座に気づいた人は、果たしてどれほどいただろうか。そこに鳴っているのは、従来のトラップ・ビートではない。シティーポップ特有のゲートリバーブが効いたスネア、レトロなドラムマシン、そしてサックスの音色。一瞬で70〜80年代へと引き戻されるような感覚に包まれる。

トラップを捨てた決断、その“違和感”が心地いい
『Vie』でドージャ・キャットが大胆に手放したのは、彼女の代名詞でもあったトラップ・サウンドだ。本作ではその要素がほぼ姿を消し、代わりに前面へ出てくるのはシティーポップ、ディスコ、モータウン、シティーポップといった過去のポップミュージックの遺伝子。
だが、この方向転換は決して実験で終わらない。本来の形ではない新たなスタイルを試みながらも、それが驚くほど自然にフィットしているのが『Vie』の凄さなのだ。

2025年来日公演が証明した『Vie』の“スタンダード感”
先日行われた来日公演のセットリストを振り返ると、本作収録曲が大きな軸を担っていたことがわかる。この光景は、2010年代R&Bを象徴する名盤、ブルーノ・マーズ『24K Magic』の楽曲群が今なおライブの中核を担っている状況と重なる。
『Vie』は一過性の挑戦ではなく、今後のドージャ・キャットを定義するスタンダードになり得るアルバムだと強く感じさせる内容だった。
『Vie』を象徴する楽曲たち
まず初めに、本作は個人的に“最高傑作”。『Vie』を語るうえで欠かせないのがアルバムの軸となるリードシングルでTHE1975のサックスのリードソロを彷彿とさせる「Gorgeous」を筆頭に、本作のスタイルが詰まったオープナー「Card」、シティーポップとディスコを融合させたダンサブルな「Take Me Dancing」、そして来日公演の締めを飾った「Dangerous Type」。
さらに注目したいのが、「One More Time」や「Stranger」といったコアなリスナー向けの楽曲だ。いずれもリード曲に引けを取らない完成度で、本作を象徴する重要なトラックとなっている。これらの楽曲は来日公演でもクライマックスで披露され、レトロでノスタルジックな空気感が会場を包み込んだ。一聴しただけで引き込まれる魅力がある。
最後の総評としてアルバム全体は、80年代の影響を感じさせるレトロな質感と豊かなサウンドに包まれ、ドージャ・キャットらしいポップ・チューンが数多く詰め込まれている。

ポップで、懐かしい、最高にクールなドジャキャットの最高傑作
Doja Cat アルバムタイトル『Vie』が示す
『Vie』はフランス語で「人生」を意味する言葉だ。本作には、ドージャ・キャット自身のパーソナルな進化、愛、葛藤、そして混沌とした感情が丁寧に刻み込まれている。
70〜80年代からの影響を感じさせる豊かなサウンドスケープの中で、彼女はこれまで以上に“人生そのもの”を歌っている。
ポップで、懐かしくて、そして最高にクール。『Vie』は、ドージャ・キャットが過去を振り返りながら未来を掴みにいった、キャリア最高傑作と言っていい。
▼ドージャ・キャット、2025年来日公演 感想:https://djplumadventuretimes.com/ドージャ・キャット-2025年来日公演-感想/
Doja Cat 『Vie』聴くべきおすすめ楽曲
Cards、Jealous Type、AAAHH MEN!、Gorgeous、Stranger、Take Me Dancing、
Acts of Service、Make It Up、One More Time、Happy
Doja Cat Vie 収録トラック
01. Cards
02. Jealous Type
03. AAAHH MEN!
04. Couples Therapy
05. Gorgeous
06. Stranger
07. All Mine
08. Take Me Dancing
09. Lipstain
10. Silly! Fun!
11. Acts of Service
12. Make It Up
13. Happy
14. One More Time
15. Come Back



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