ケンドリック・ラマー、新作『GNX』を聞いた

COLUMN

Kendrick Lamar GNX

ケンドリック・ラマー、新作『GNX』解説 

ケンドリック・ラマー、新譜 GNXについて

ドレイクとのビーフで話題を呼び、2024年を代表するアンセムとなった『Not Like Us』だけでは満足できないケンドリック・ラマーが、前触れなしに新作『GNX』をゲリラリリース。12曲、全44分に凝縮された本作は、彼のキャリアの新章と2024年を象徴するアルバムとなる。前作『Mr. Morale & the Big Steppers』からTDEを離れてから初の作品であり、独自の進化が色濃く反映されている。

アルバムのサウンドとテーマ

予期せぬ新作『GNX』は、クラシックな90年代ヒップホップカルチャーへのオマージュと、シンプルなビートの融合が特徴だ。前作に比べ、重過ぎないテーマであったり、収録楽曲数のコンパクトさ、そしてクラシックで洗練されたサウンド面からアルバム全体を通して聴きやすい構成となっている。現代性を持ちながらも懐かしさを感じさせるトラックが多く、特に90sカルチャー好きにはたまらない内容になっている。次章では、リリックや楽曲に潜む背景という観点ではなくトラックの観点でGNXに収録されている良曲を紹介する

ケンドリック・ラマー GNX おすすめトラック

ケンドリック・ラマー luther with sza

ゲストにSZAを起用したソウルフルなナンバー。ルーサー・ヴァンドロス(Luther Vandross)が参加したシェリル・リン(Cheryl Lynn)によるカバー楽曲*If This World Were Mine をサンプリングしており、本作全体の方向性を象徴するような懐かしくも新しい響きを持つトラックだ。オールドスクールのエッセンスと現代的なアプローチが融合し、アルバムの中でも特にクラシックナンバーとして印象的な存在感を放っている。尚サンプリングの元ネタはマーヴィンゲイ*If This World Were Mine

ケンドリック・ラマー squabble up

Not Like UsのMV内冒頭で流れた楽曲のフルバージョンが聴きたいならこの楽曲で間違えない。一聴で惹きつけられる楽曲なのは言うまでもないが現在ジャズシーンの王者カマシワシントンの起用によってタイトで緊張感のあるサウンドに仕上がっている。尚楽曲のMVもリリースされているのでNot Like Usとの関係性を探りながら見ると面白いかもしれない。

ケンドリック・ラマー dogerblue

ローファイなサウンドが全体を包み込み、フック部分で展開されるコーラス隊によるゴスペル風の合唱が印象的な楽曲。シンプルながら温かみのある音作りと重厚なハーモニーが調和し、リスナーを引き込む仕上がりになっている。

ケンドリック・ラマー tv off feat. lefty gunplay

「Not Like Us」で共演済みのDJマスタードを再びプロデューサーとして迎えた楽曲。「Not Like Us」のエッセンスを継承しつつ、さらにエネルギッシュな展開が加わっている。マスタードによるドライなストリングの響きとクラシックなビート、そしてケンドリックの力強いシャウトが絡み合い、アルバム全体の中でもひときわアッパーな仕上がりとなっている。感情が爆発しそうなアグレッシブなアプローチが味わいたいなら本楽曲をご堪能あれ

ケンドリック・ラマー heart Pt6

2022年にリリースされた「The Heart Part 5」の続編となる一曲で、本楽曲も90sに触発されたトラックに仕上がっている。時代を築き上げたSWVの名曲「Use Your Heart」をサンプリング、90年代のヒップホップを想起させる哀愁感漂うメロウなサウンドの響きが聞き手を惹きつける魅力を放っている。

ケンドリック・ラマー  Gloria feat.sza

アルバムのラストを飾る「Gloria」は、SZAを再び客演に迎えた必聴の一曲。SZAとの相性の良さは、映画ブラックパンサー提供楽曲「All The Stars」で証明済みで、本作のフィナーレにふさわしい壮大な仕上がりとなっている。

 

 

 

参照元
ユニバーサルミュージック ケンドリックラマー公式サイト

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