Pale Waves
ペールウェーヴス|新譜Smittenのレビュー
心地良い響きがアルバム全体を通して展開される良作。前作『Unwanted』で示したアヴリルラヴィーンやパラモアを彷彿とさせるディストーションを効かせたポップパンク的勢いから一転、今作ではクランベリーズやザ・キュアーを想起させるような80年代~90年代のオルタナティブなロックへ舵を切る。
これまでアルバムごとにスタイルを変えてきたペール・ウェイヴス。今回も良い意味で期待を裏切ってきた。リリース当初は原点復帰の80年代テイストと噂されていたのでthe1975のようなシンセを基盤としたサウンドアプローチをイメージしていたが蓋を開けてみるとシンセの主張よりもバンドサウンドを主軸におき、クワイアーなコーラスやリバーブの効いたスネアサウンドが広がる心地よい響きが印象的な楽曲が多く収録されている。*心地良さという観点を除けば本作のアプローチは、セカンドアルバムの芸風が近いかもしれない
尚、本作のタイトル『Smitten』は、「夢中になる」というスラング。その名の通り『Glassgow』や『Perfume』『Gravity』『Slow』などの楽曲で魅せるドリーミーで心地よい響きと透明感あふれるヘザーのボーカルが見事に調和し『繰り返し聴きたくなる=夢中になるアルバム』に仕上がっている。
ヘザーが描く「リリック」の進化
今作では歌詞に大きな変化が見られる。これまでの楽曲では「You」という中性的な言葉が多用されていたが、『Smitten』では「She」や「Her」といった女性形が積極的に登場する。例えばファーストシングル「Perfume」や「Miss America」、「Seeing Stars」では、女性同士の恋愛が描かれ、ヘザーが持つクィアな視点が明確に示されている。
*ヘザーは自身のセクシャリティについて公表しており恋愛対象は女性とカミングアウトしている
尚、本作でヘザーがクィアなアプローチを取るにあたり、ジャパニーズ・ハウスやガール・イン・レッド、そしてビリー・アイリッシュやチャペル・ローンといったアーティストのように女性同士の恋愛をオープンに歌うアーティストたちからも大きな影響を受けたとのこと。
Smitten・注目トラック
本作は、心地よいサウンドがアルバム全体に展開されておりに楽曲単位ではなくアルバムを通して聴いてほしい作品だが、本作特有の心地よいサウンドとヘザーの美声が魅力的な楽曲という観点で選べぶと以下がおすすめだ。
1.Glassgow
透明感のあるヘザーの歌声とスネアの響きが特徴的な本楽曲は、アルバムの方向性を忠実に表したサウンド。そしてアルバムの幕開けに相応しい爽快感がある楽曲だ。
4.Thinking About you
アルバムリリース前に最後にシングルカットされた楽曲。キャッチーなサウンドとシングアロングを期待できそうなリリックからライブ映えすること間違えなし
5.Perfume
本作のリードシングル。冒頭から心地良い響きが広がるペールウェイブスらしい多幸感に溢れた楽曲。サビパートをクィアな表現でガッツリ歌い上げる本楽曲のリリックはライブでのシングアロングが期待できそうなので予習必須だ。
6.LAST TRAIN HOME
ヘザーが人生で初めて女性と恋をした経験を描いた本楽曲は、自分のセクシャリティに迷い、まだ自己を確立できていなかった頃の葛藤を鮮明に映し出した楽曲
8.Miss America
前作に近いアプローチのポップパンクなナンバー。冒頭からなるディストーションギターが光る本楽曲は、ティーン特有の葛藤を描いたリリックが秀逸。
10.Seeing Stars
恋に落ちた瞬間の高揚感を夢見るようなサウンドで表現。コーラスの心地よさとサビのキャッチーさが光る楽曲。本作において、一番のお気に入り楽曲だ。
12.Slow
アルバムを締め括るナンバー「Slow」は、〈Am I Dreaming?(私は夢を見ているのかな?)〉というリリックが印象的で、アルバムに散りばめられていた心地良い夢物語にピリオドがうたれ、現実に引き戻される。この感覚ぎ本楽曲の魅力を更に際立たせる。
▼Smitten-収録トラック
1.GLASGOW
2.NOT A LOVE SONG
3.GRAVITY
4.THINKING ABOUT YOU
5.PERFUME
6.LAST TRAIN HOME
7.KISS ME AGAIN
8.MISS AMERICA
9.HATE TO HURT YOU
10.SEEING STARS
11.IMAGINATION
12.SLOW
ペール・ウェーヴス来日公演情報/Pale Waves Japan Tour 2024
ペール・ウェーヴス待望の新作smittenを引っ提げた来日公演が12月に決定!
昨年のサマーソニック2023以来の来日となり、単独公演としては2022年ぶりとなる。
来日公演情報は、以下の通り。
■大阪 2024/12/9(月) BIGCAT
開場・開演:OPEN 18:00 / START 19:00
チケット:オールスタンディング : ¥8,500(税込/1Drink別)
チケット発売日:7/13(土) 10:00am~
■東京 2024/12/10(火) 豊洲PIT
開場・開演:OPEN 18:00 / START 19:00
チケット:オールスタンディング : ¥8,500(税込/1Drink別)
チケット発売日:7/13(土) 10:00am~
さらなる詳細は、以下をご覧ください。
ペール・ウェーヴス来日公演 クリエイティブマンオフィシャルサイト
参照元
クリエイティブマンオフィシャルサイト
コメント
実は、英語力があるから、評論家で、英語があまり得意じゃない人より、一歩踏み込んだ解説を、してくれるから、アーチストのファンで、これから、ライブ行く人は、ああそうなんだ、と理解して、楽しめるから、ありがたいと思う。これからもコメント楽しみにしてるね。