SUMMERSONIC2024 AND FUJIROCK2024
2024年度版サマーソニックとフジロック比較と感想
2024年度版サマソニとフジロックの出演アーティストの比較
まずは、ヘッドライナーについて語ろう。サマソニ側は、これまでにない新たな試みが見えた。ベックやブラー、レディオヘッドなどの大御所がヘッドライナーを務めるのではなく、メンバーの平均年齢が若い(若手バンド)且つ、音楽的に認められ幅広い層から人気がある新世代アクト『マネスキン』と『ブリングミーホライズン』をヘッドライナーとして起用したことだ。*驚くべきことにマネスキンに至っては、ベイビーメタルより若いメンバーで構成されている。
一方で、フジロック側はシザのキャンセルにより奇跡の代打を務めた『ザ・キラーズ』、『クラフトワーク』、『ノエルギャラガーハイフライングバード』などのベテラン勢をヘッドライナーとして迎えるなど両社それぞれ独自の色を出した。次に、ヘッドライナー以外の注目アーティストを比較しよう。サマソニは、『アンダーワールド』や『ワンリパブリック』、『クリスティーナ・アギレラ』、『メジャー・レイザー』そして『オーロラ』などメインストリームで活躍する人気アーティストが多く出演する。
一方、フジロックは、『ライド』や『ジーザス&メリー・チェイン』『ベスギボンズ』といったベテラン勢にに加え、『ガールインレッド』、『サンファ』、『ペギー・グー』『キングクルール』などの旬のアーティストも出演するが今年のフジロックは例年以上に、やや通好みのラインナップになっており敷居の高い印象だ。上記で挙げたアーティスト以外で見逃せないアクトとしては、サマソニ側は『ブリーチャーズ』や『ナッシング・バット・シーヴス』、『リル・ヨッティ』、『タイラ』などが挙げられ、フジロックでは『ラスト・ディナー・パーティー』、『アス』、『ターンスタイル』、『レイ|RAYE』そして『キムゴードン』らが見逃せない。
ラインナップを並べるとサマソニ側はやはり認知度が高くメインストリームで活動しているアーティストを主だが、一方でフジロックはフェス来日以外で来日が実現しなそうなレアなアーティストを多くブッキングしている印象だ。
最後に、動員数で比べるとサマーソニックは若年層の支持がある国内アーティストや韓国アーティストの出演もあり相変わらずの好評で両日ともにソールドアウト、フジロック側はチケットの売り上げこそ苦戦したもの、コーチェラやローラパルーザと比較しても負けないヘッドライナーの強さと初来日を果たした『アス』や『レイ』、そして『ラストディナーパーティー』といった新たな発見があった年であった。
フジロック2024・参戦レポート
まさに感慨深い年となった。これまでにない敷居の高いラインアップに加えて、初日のヘッドライナー『シザ』のキャンセルというハプニングから、まさかの『ザ・キラーズ』が奇跡の代打としてヘッドライナーに抜擢。
結果、シザのキャンセルによる悲劇から『ザ・キラーズ』がフジロックを救う形になって新たな伝説を作った。20年目の苗場の復帰と日本での再ブレイクを果たすべく気合の入ったパフォーマンスで、死角のないアンセム尽くしのセットリストとハイライトシーンには紙吹雪が舞う圧巻のエンターテインメントショーはまさにレジェンダリーなギグであった。
続いて二日目は、テクノポップの先駆者『クラフトワーク』が登場しエッジの効いた映像と音とリンクによるパフォーマンスによって苗場をダンスフロア化させたのが印象的であったが、ヘッドライナーに負けない勢いを見せた若手アーティストの活躍も忘れがたい。
初来日を果たす『ザ・ラスト・ディナー・パーティ』、『サンファ』、そしてホワイトのトリを務めたポスト・インディーロック界のテイラースイフト『ガールインレッド』など次世代若手アーティストによる見事なパフォーマンスも印象的であった。最終日、驚異のフジロック全日出演を果たしたフィンランドの新星『アス』がレッドマーキで魅せたパフォーマンスは、まさにストーンズやアークティックモンキーズを想起させる素晴らしいものであった。
まさにガレージロックロールの再来という言葉が適切だろう。余韻に浸る間もなくグリーンステージへ移動し『ルーファス・ウェインライト』を見た。
「Hallelujah」は、フジロック史に残るバラードアンセムとしてグリーンステージに響き渡った。また、伝説のシューゲイザーバンドである『ライド』や『ジーザス&メリー・チェイン』らによるシューゲイザーサウンドが苗場を魅了し、そして『ファウンテンD.C.』や『ターンスタイル』といった注目株のアーティストも負けずと確かな存在感を示した。
そしてフィナーレでは、フジロックを締め括る最終日のヘッドライナー『ノエル・ギャラガー』は昨年度リリースされた新譜カウンシルスカイズから過去を巻き戻す形で自身のキャリアのヒット曲を披露、そして終盤に向かうと『Going Nowhere』を皮切りにオアシスパートへ突入。
『Whatever』『Stand By Me』『Liveforever』など涙無しにはいられない怒涛のオアシスアンセムが繰り出され観客を感動の渦に巻き込んだ。動員人数こそ例年に比べて苦戦したものの、ラインアップの質やパフォーマンスは過去数年間に匹敵するほどの豊作だったと言える。
サマーソニック2024 参戦レポート
一方サマソニ2024は、台風直撃の影響や大阪会場の移設など波乱含みのスタートとなり、相変わらずの話題が絶えないフェスとなっている。今回のラインナップには賛否両論が飛び交い、特にヘッドライナーに関しては直近で来日済みというのもあり目新しさが欠けるとの声もあった。
それは前年のヘッドライナーがケンドリック・ラマーやブラーといった点もあるが、もう少し捻りを聞いたサプライズを期待していた観客も多かっただろう。*実際サプライズを用意しており当初の構想では1日目は『マネスキン』と『ブリング・ミー・ザ・ホライズン』らによるロックの日、そして二日目は昨年度の『ケンドリックラマー』の流れを継承しヒップホップ枠のヘッドライナーとして『トラヴィス・スコット』がトリ務める予定だった。
しかし、トラヴィスの出演が実現せず、結果的にマネスキンとブリング・ミー・ザ・ホライズンが二大ヘッドライナーを担うことになった。最初の発表では賛否が巻き起こったが、最終的には17年ぶりの来日となった伝説の歌姫『クリスティーナ・アギレラ』、『アンダーワールド』、『ワンリパブリック』、『タイラ』、『ブリーチャーズ』、『ナッシング・バット・シーヴス』、『フェニックス』といった実力派アーティストが追加され、見応えのあるラインナップが完成した。
敷居の高いフジロックのラインナップと比べサマソニらしいキャッチーで幅広い層に受けるアーティストを揃え、どの時間帯でも見逃せないパフォーマンスが展開されるタイムテーブルは、まさに夏フェスの真骨頂。
注目すべきアクトとしては、「トップガン・マーベリック」の主題歌である『ain’t worried』で幕を開けたワンリパブリックが、夏フェスらしい観客を楽しませるポップなショーを披露。また、『ナッシング・バット・シーヴス』と『フェニックス』は一瞬も見逃したくないほどの引き込まれるステージを展開し、伝説歌姫クリスティーナ・アギレラは『FIGHTER』や『BEAUTIFUL』など時代が経っても廃れない名曲のヒットパレードで会場を沸かせ、飛ぶ鷹を落とす勢いがある歌姫タイラは、『Water』を披露しクラブを飛び越えフェス会場へそしてマウンテンステージを沸かし、『ブリーチャーズ』はスタジアム級の音の広がりを見せつけステージを歓喜で包んだ。
そして、いよいよフェスも終盤に差し掛かり『ブリング・ミー・ザ・ホライズン』と『マネスキン』のヘッドライナー出番だ。両者ともに圧倒的な集客力とステージパフォーマンスで、特にマネスキンに至ってはスタジアムを超満員、4Fの観客席まで埋めるほどの圧倒的支持とヘッドライナーとしての格を証明したのであった。事前に指摘されていた「ヘッドライナーが弱い」という批判を一掃し、サマソニ2024を成功へと導いた。
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