summersonic2024
サマソニ2024問題
サマソニ2024問題:アイドル祭りと若年層の洋楽離れ、そして「暑さヤバすぎ問題」
サマソニ2024問題その1:暑さヤバすぎ問題
昨年度に引き続き今年も全日ソールドアウトとチケットの売り上げは、絶好調。しかしながら『円安によるブッキング問題』や『若年層による洋楽離れ問題』、そして『暑さ問題』などフェスらしい課題点が多く挙げれる。まず最初に挙げられるのが『暑さ問題』。昨年度は熱中症が多発したため、運営側は熱中症対策を強化。マリンスタジアム内では、スポーツ飲料の販売やルールの見直しが行われ、昨年まで禁止されていたペットボトルやマイボトルの持ち込みも可能にするなど対策に力を入れていた。至る所でポカリスエットが手に入り、飲料補給の改善は昨年以上だった。
しかしながら、「暑すぎてフェスどころではない」と感じる参加者の声も多く、暑さ対策の難しさを浮き彫りになる。特に大阪会場は、万博記念公園という広大な緑に囲まれたロケーションではあるが、太陽を遮るものが少なく、猛暑に直面する状況はより深刻に、、「熱中症が出ないのが不思議なくらいだ」とさえ思えるほどで、大阪会場では逃げ場のない厳しい環境に苦しむ参加者も多かったようだ。
サマソニ2024問題その2:洋楽フェスがアイドル祭りに
サマソニは本来、洋楽アーティストが中心としたフェスだが、近年のサマーソニックでは新たな試みとして集客力を持つ国内アーティストやアイドル勢そしてK-popアーティストのブッキングを始めることにより国内アーティスト、及び、K-popグループのステージが人気を集め、洋楽アクトが空席に苦しむ逆転現象が起きている。東京・大阪両会場ともにチケットはソールドアウトしていたものの、国内アーティストやK-popグループのステージには多くの観客が集まる状態。
特にコーチェラの出演を果たした『Number_i』や『WEST』、『RIIZE』などのアクトが大盛況で、ステージは満員。一方で、海外ではアリーナクラスのバンドである『ナッシング・バット・シーヴス』や『フェニックス』でさえ、前方を除いて観客がまばらという状況に。
伝説の歌姫『クリスティーナ・アギレラ』のステージでさえ空席が目立つ状況で、現代のレッドツェッペリンと言われる『グレタ・ヴァン・フリート』に至っては、暑さの影響もあって海外では想像もできないほどガラガラの状態でであった。
若年層の洋楽離れの危機を感じる一方で、トリを務めた『ブリング・ミー・ザ・ホライズン』や『マネスキン』はさすがの集客力を見せ、洋楽離れによる空席問題を払拭するかのように圧巻のパフォーマンスを繰り広げスタジアムを沸かし、ヘッドライナーとしての意地を感じた。
特にマネスキンに関しては、マリンスタジアム内の観覧席でさえパンパンで空席がわずかに見られる程度の大盛況ぶりで、洋楽離れといわれる中で一つ頭が飛び抜けたアクトとして幅広い層の支持を感じた瞬間であった。
ブッキング枠を見直すきっかけとなったサマソニ2018
サマソニにおける国内アーティストのブッキングが増加した背景には、2018年が大きな分岐点となった。ヘッドライナーとして『ノエル・ギャラガー』や『ベック』が抜擢され、旬のアーティスト枠として『チャンス・ザ・ラッパー』や『テーム・インパラ』、『ショーン・メンデス』が出演。また、ベテラン勢として『クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ』、『パラモア』、『ST. ヴィンセント』、『カマシ・ワシントン』、『ジョージ・クリントン&パーラメント』といった錚々たる顔ぶれがラインナップをブッキング。
さらに、『ペール・ウェーヴス』や『J・バルヴィン』、『レックス・オレンジ・カウンティー』、そして今やトップスターとなった『ビリー・アイリッシュ』などポテンシャル枠のアクトも充実しており、サマソニ2018の出演ラインナップの豪華さは今振り返ってもトップクラスだった。特記すべきは『ビリー・アイリッシュ』や『ショーン・メンデス』『テーム・インパラ』らの出演だろう。
サマソニ2018の時点では、今じゃ考えられない時間帯の出演とステージの割り振りだが、今ではヘッドライナー枠にあげられるほど飛躍ぷりだ。また『カマシ・ワシントン』や『レックス・オレンジ・カウンティー』も当時では考えられないほど今ではギャラが高騰しているので、これらのアーティストを再び一堂に集めるのはほぼ不可能であろう。それにもかかわらず、この豪華ラインナップでさえ当時のサマソニでは集客に苦戦したのが事実である。これには、プロモーターであるクリエイティブマン側もショックを受けたはず。さらに、現在の物価高騰や円安の影響もあり、国内アーティストの出演増加は避けられない流れとなっている。世界的なアーティストを呼び寄せるために尽力しても、日本国内でその魅力が十分に周知されず、集客に結びつかないという悩みは依然として存在していた。
しかし、近年ではthe1975、マネスキン、デュア・リパ、そしてビリー・アイリッシュといったアーティストを中心にレーベル側もプロモーションに力を入れ始め、この問題が徐々に解消されつつある点には希望を感じられる。
最後に
国内アーティストのブッキング枠増加は、円安の影響もあり仕方のない面があるが、それがサマソニのチケット好調に繋がっているのも事実だ。
結果として、マリンステージの花道設置や、大阪会場の移設といった改善も、こうした成功があったからこそ実現した。また、フェスは未知との出会いが魅力。バイアスを捨てて参加すれば、新たなお気に入りアーティストを見つける機会にもなるだろう。大阪の暑さ問題も、国内勢の集客次第で改善の可能性が広がるかもしれない。
参照元
サマーソニックオフィシャルサイト
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